PRODUCT
衣料ファブリック
吸汗・速乾
ポリバ
■ 開発背景
地球環境保護の意識の高まりを背景に、当社はこれまで蓄積してきた独自技術を駆使し、エコな新素材の開発を進めてまいりました。こうした中、当社ではコットンとポリエステルという天然繊維と合成繊維の特長に着目し、これを環境配慮に生かせないかと考え、これまでの改質技術をより進化させ、新素材開発に力を注ぎました。
コットン(=綿)素材は、一般に優れた吸水性と保水性を持つといわれております。しかし、吸いとった水分が乾きにくいという弱点もあります。
反対に、ポリエステルには乾きやすくシワになりにくい、などの強みがあります。反面、コットンの長所である吸水性や吸湿性の面では、ポリエステルは劣ります。
そこで、ふたつの素材の長所を最大限に引き出そうと考え、ポリエステルとコットンのそれぞれに改質技術を施しました。その結果、吸水性、速乾性、洗濯耐久性などのエコな特長を発揮する新素材「ポリバ™」の開発に成功しました。環境配慮型素材「ポリバ™」は快適かつイージーケアなエコ素材として、独自技術を確立しています。
図1 コットンと「ポリバ™」の電子顕微鏡拡大写真
図1から、「ポリバ™」では、すべての単糸が改質され変化している状態が分かります。「ポリバ™」では、糸1本ずつが改質され、改質された表面積が拡大することにより、エコで多機能な効果を生み出しています。
■ エコな特長
当社独自の「改質技術」を用いてポリエステルおよびコットンを改質させた環境配慮型素材「ポリバ™」は、以下の特長により環境にやさしい素材であることがお分かりいただけます。
(1)吸水・速乾性
当社独自の改質技術が素早く水分を拡散させるため、乾燥が早く、機械乾燥時のエネルギーが少ないエコな素材です。※未加工対比、乾燥時間が約30%~50%早く、乾燥のエネルギーが約30%~50%少なくなります。
また、改質したコットン部分が素早く水を吸収するため、高い吸水性を持ちながら、改質したポリエステル部分により素早く水を拡散させるメカニズムがはたらきます。
「ポリバ™」の吸水・速乾機能が、汗をかいた後の不快感やベタつきを抑え、爽快感あふれるさらさらした着心地をもたらせます。(別添参考資料:資料1「乾燥速度試験」)
図2 「ポリバ™」の吸水速度と乾燥速度の比較
※1 T/C(ティー・シー)複合素材・・・ポリエステルとコットン(綿)を混紡した素材。
(2)イージーケア性
ポリエステルの「シワになりにくい」という特長を備えているため、コットンライクな風合いを保ちながら、洗濯後のアイロンがけやクリーニングの手間を省きます。
(3)洗濯耐久性
「ポリバ™」は、50回工業洗濯後でも吸水性・速乾性を維持します。そのため、製品寿命が長く、長期にわたり繰り返し使用することができます。
(4)当社の『後加工技術』との組合せ
廃棄されるタマネギの皮や天然成分を用いて染める「オニベジ」や「ベジベジ」と組合せることが可能なため、染色工程においても環境に配慮した優しい素材となります。
■ 多機能性
環境に優しい特長にくわえ「ポリバ™」は、その他にも多様な機能を備えています。各々の特徴や効果については以下のとおりです。
(1)爽やかな“調湿機能”
優れた吸湿性と放湿性があるため、衣服内部の水分を吸い取り、湿気を外部へ放出し衣服内環境を整える効果があります。(別添参考資料:資料2「実着用での衣服内環境の比較 衣服内の湿度変化」)
(2)静電気を軽減
制電性が高く、静電気によるパチパチやまとわりつきがありません。
(3)他社様の“先染品”へも改質加工が可能に
他社様の先染品※2 に、当改質技術を用いれば、先染品に「ポリバ™」の効果を加えられます。
※2 他社様の先染品は、樹脂加工をしていないものに限ります。
■ 用途展開
寝装品、ユニフォーム、ファッション衣料、スポーツ衣料
■ 特許について
関連特許6件を取得済みです。
【参考資料】
資料1:乾燥速度比較
高温多湿条件で乾燥試験を行いました。
条件 水 1ml 滴下/試験環境:気温28度 湿度80%
「ポリバ™」では吸水直後から、コットンと比べ2倍以上の拡散が起こり、拡散した水滴の外側から素早く乾燥が進む様子がわかります。
図3 コットンと「ポリバ™」の吸水性と乾燥性の比較写真
資料2:実着用での衣服内環境の比較(衣服内の湿度変化)
高温多湿条件にて実着用試験を行いました。
・軽作業を想定して40分間ルームランナーで歩行
・試験環境:気温28℃ 湿度65%~75%
「ポリバ™」はコットンと比べて、運動途中から衣服内湿度が低下し始めています。「ポリバ™」は、汗が多くなってきても吸い取り拡散させ、すばやく放出させた結果、運動中であっても衣服内湿度の上昇が抑えられています。
運動後、コットンがムレを感じるのに対し、「ポリバ™」は衣服内湿度が低下し、サラッと快適に感じられます。
図4 軽作業時での衣服内の湿度変化